2匹で1つの爪とぎ、本当に仲良く共有できている?
1匹が爪とぎの上でくつろいでいる。その少し先に、もう1匹が座っている。ケンカはしないし、鳴きもしない。しばらくすると、後から来た子は別の場所へ行ってしまう。「ちゃんと順番を待てて、仲良しだな」と思いたくなる場面です。
でも、その子は本当に順番を待っていたのでしょうか。
もしかすると、先に使っている猫ちゃんの視線を見て、「今は近づかないほうがいい」と引き返したのかもしれません。
2匹で暮らしていると、追いかけたり、取っ組み合いをしたりしなければ、うまくいっているように見えます。ところが猫同士の緊張は、もっと静かな形で出ることがあります。
同時に乗れる必要はありません。朝と夜で時間を分けていても、どちらも無理なく使えているなら共有できています。
反対に、片方がいつも見ているだけなら、「ケンカしていないから大丈夫」とは言い切れません。
同時に乗らないから、仲が悪いわけではありません
まず、2匹が一緒に爪とぎへ乗らないこと自体は、問題ではありません。
片方は朝、カーテンを開けたあとに使う。もう片方は夜、家の中が静かになってから使う。こんなふうに時間をずらして、同じ場所を使う猫ちゃんもいます。
猫同士がべったり寄り添っていなくても、お互いを気にせず同じ場所へ出入りできているなら、暮らしの中では十分うまく回っています。
見るべきなのは「一緒に乗った写真が撮れるか」ではなく、どちらも使いたいときに使えているかです。
ケンカがなくても見える、静かな遠慮
猫同士の緊張というと、シャーッと鳴く、追いかける、猫パンチをする、といった場面を想像しやすいですよね。
実際には、その手前にもっと小さなサインがあります。
- 片方が爪とぎに近づくと、もう片方がじっと見つめる
- 爪とぎまでの通り道や、すぐ横にいつも同じ猫がいる
- 近づこうとした猫が、途中で止まって向きを変える
- 片方は家族が寝たあとなど、もう1匹がいない時間にしか使わない
- 爪とぎの近くでは、耳を横へ向けたり、体を低くしたりしている
こうした様子が続くなら、順番を待っているというより、使うのを諦めている可能性があります。
もちろん、一度見つめた、たまたま引き返した、というだけで決める必要はありません。何日か見て、いつも同じ猫が譲っていないかを確認します。
ケンカがなくても、見つめる、通り道をふさぐ、近づいた猫が引き返す、といった形で遠慮が見えることがあります。「近づく前・使っている間・離れたあと」を見る
共有できているかを確認するときは、爪とぎの上にいる瞬間だけを見ないほうが分かりやすいです。
もう1匹が近くにいても、そのまま自然に近づけるか。途中で止まったり、遠回りしたりしていないかを見ます。
体を伸ばして研げているか。何度も周りを確認したり、耳を後ろへ向けたまま急いで終わらせたりしていないかを見ます。
使い終わった猫をもう1匹が追いかけないか。入れ替わるように次の猫が自然に使えているかを見ます。
一場面だけなら、たまたまかもしれません。朝、昼、夜と少しずつ見ていると、「この子は自由に使っている」「この子は相手がいないときだけだな」という違いが見えてきます。
こんな使い方なら、1つを共有できています
- 2匹が一緒に乗っても、体の力が抜けている
- 時間をずらしながら、どちらも毎日または定期的に使う
- 片方が近づいても、もう片方が見張ったり追い払ったりしない
- 先にいた猫が離れたあと、もう1匹が自然に使い始める
- どちらか一方だけが、家具や壁へ追いやられていない
同時に使う形でも、時間で分ける形でも構いません。
2匹とも「使う、使わない」を自分で選べているなら、その家なりの共有ができています。
1つで足りないと感じたら、まず置き場所を分ける
片方がいつも引き返す。相手が寝ている間しか使えない。爪とぎの横を通るときだけ足早になる。
そんな様子があるなら、爪とぎをもう1つ用意することを考えます。
このとき、今ある爪とぎのすぐ横へ並べるだけでは、片方の猫ちゃんが2つまとめて見張れてしまうことがあります。
たとえば、1つはリビングの窓辺。もう1つは寝室へ向かう途中。棚やソファで互いの視線が少し切れる場所なら、片方を気にせず使いやすくなります。
FelineVMAの多頭飼い向け資料では、爪とぎを含む主要なものについて、猫ごとに1つと予備の1つを、見通しを分けて置く考え方が紹介されています。
だからといって、今日すぐ同じものを3つ買わなければいけない、という話ではありません。まずは、いつも譲っている猫ちゃんが使いやすい場所に1つ増やし、行動が変わるかを見る。それでも選べる場所が足りなければ、少しずつ整えていけば大丈夫です。
追加するなら、同じ場所へ固めず、視線が少し切れる別の場所へ。それぞれが自分のタイミングで使いやすくなります。大きい爪とぎなら、2匹で使える。でも広さだけでは決まりません
面が広く、グラつきにくい爪とぎなら、2匹が一緒に乗ったり、体の大きな猫ちゃんがゆったり使ったりしやすくなります。
にゃんこの宿でも、大きな猫ちゃんが乗れる広さと安定感を大切にしています。研ぎカスが出にくければ、複数の猫ちゃんが使っても、掃除の回数が増えにくいという良さもあります。
ただし、広ければ必ず仲良く共有できるわけではありません。
一つの爪とぎに2匹分の広さがあっても、片方がその場所を見張っていれば、もう片方は近づけません。商品の広さと、猫ちゃんが選べる場所の数は、分けて考えたほうがいいんです。
一緒に使える広さがあること。別々に使いたいときの逃げ道もあること。両方がそろうと、猫ちゃん同士に無理をさせずに済みます。
まとめ
2匹が同時に爪とぎへ乗らなくても、時間をずらしながら、どちらも自由に使えているなら共有できています。
反対に、片方が見つめる。通り道をふさぐ。もう片方が近づいても引き返す。こうした様子が何度も続くなら、ケンカがなくても遠慮が生まれているかもしれません。
見るのは、仲良く並んだ一瞬ではなく、どちらも自分のタイミングで近づけているか。
1つで足りなければ、もう1つを別の場所へ置いてみる。猫ちゃん同士の関係を変えようとする前に、どちらも選べる環境を作るところから始めてみてください。