爪とぎに乗るのに、爪は研がない。それでも使っていると言える?
爪とぎを買ったのに、ガリガリしているところは見たことがない。表面も、きれいなまま。でも、ふと見ると上に座っている。昼寝もするし、毛づくろいまでしている。「これって、使ってることになるの?」と迷いますよね。
買った側としては、やっぱり爪を研いでほしいものです。表面に研いだ跡がついて、初めて「使ってくれた」と思いやすいですから。
でも、猫ちゃんにとっては、それが何という名前の商品かは関係ありません。乗ってみたら落ち着いた。家族の気配がちょうどよく見える。気がつけば、また同じ場所に戻ってくる。
ただし、「乗っているなら、もう何も考えなくていい」という話でもありません。
居場所として使っているか。爪を研ぐ場所としても足りているか。この二つを分けて見ると、今の状態がずっと分かりやすくなります。
「使う」を一つに決めると、分かりにくくなる
新しい爪とぎを置いた日は、つい猫ちゃんの反応を追ってしまいます。
匂いをかいだ。前足を乗せた。「お、研ぐかな」と思ったら、そのまま座った。翌日も爪を研ぐ気配はないのに、なぜかそこで丸くなって寝ている。
こうなると、「いや、ベッドを買ったわけじゃないんだけどな」と思うはずです。爪とぎとして選んだのですから、そう感じるのは自然です。
ただ、猫用品は、人間が決めた用途どおりにだけ使われるとは限りません。爪を研ぐためのものが、見張り台になったり、昼寝場所になったりする。猫ちゃんが毎日そこを選んでいるなら、その使い方まで含めて暮らしに入っています。
居場所として使っているサインは、研ぎ跡より「戻ってくる回数」
一度乗っただけなら、たまたま通っただけかもしれません。
でも、朝もそこにいる。夜になると、また同じ場所で毛づくろいを始める。ほかに座れる場所があるのに、わざわざその上へ戻る。ここまでくると、話は変わってきます。
- 毎日、または一日に何度も自分から乗る
- その上で座る、眠る、毛づくろいをする
- 体の力を抜いて、横向きや丸い姿勢で休む
- ほかに場所があっても、その爪とぎを選ぶ
こんな様子があるなら、「爪を研いでいないから、まったく使っていない」とは言えません。
猫ちゃんは「これ、気に入ったよ」とは言いません。その代わり、同じ場所へ何度も戻ってきます。表面の減りより、その行動のほうが分かりやすい答えになることもあります。
座る、毛づくろいをする、眠る。何度も自分から戻ってくるなら、その場所を選んでいます。次に見るのは、「爪をどこで研いでいるか」
ここは、居場所の話と分けて考えます。
爪とぎの上では気持ちよさそうに寝ている。でも、爪を研ぐのは別の爪とぎ。これなら、休む場所と研ぐ場所を使い分けているだけです。
一方で、寝るのは爪とぎ、研ぐのはソファの角や壁紙という場合。その爪とぎは居場所として使われていますが、爪を研ぐ環境はもう一度見たほうがよさそうです。
猫にとって爪を研ぐのは、爪の手入れをしたり、体を伸ばしたり、においや跡を残したりする自然な行動です。休む場所が見つかっても、研ぐ場所がいらなくなるわけではありません。
「せっかく買ったのに、どうしてここで研がないの」と困ったときは、叱る前に、普段どこで、どんな姿勢で研いでいるかを見てみてください。
- 床のような横向きと、壁のような縦向きのどちらを選ぶか
- 力をかけたときに爪とぎがズレたり、傾いたりしないか
- 体を伸ばして前足を動かせる広さがあるか
- 起きた直後など、猫ちゃんが研ぎたくなる場所に置いてあるか
今の爪とぎを気に入って寝ているなら、無理に取り上げる必要はありません。居場所はそのまま残して、研ぐための向きや素材、置き場所を別に整える。そう考えると、猫ちゃんのお気に入りを消さずに済みます。
4つに分けると、今の状態を判断しやすい
居場所としても、爪を研ぐ場所としても使っています。二つの役割が一つにまとまっている状態です。
まったく問題ありません。休む場所と研ぐ場所を、猫ちゃん自身が使い分けています。
居場所としては使っています。ただ、研ぐ場所は足りているか、向きや安定感が合っているかを見直します。
まだ慣れていない可能性もあります。置き場所、安定感、広さ、素材を一つずつ見直してみます。
乗っているだけでも、買い物が失敗だったとは限らない
爪とぎとして買ったのだから、爪を研いでほしい。それはそのとおりです。
でも、毎朝そこで日向ぼっこをしている。帰宅したとき、その上からこちらを見ている。夜になると、家族のそばで同じ場所に丸くなる。
そこまで毎日の風景になっているなら、その爪とぎはもう、猫ちゃんの暮らしの一部です。
研ぎ跡が少ないからと、すぐに片づけてしまう。すると猫ちゃんにとっては、いつもの休み場所が急になくなることもあります。人間が想像した使い方と違っていても、猫ちゃんが選んだ使い方には意味があります。
だから、まずは「居場所としては使っている」と受け止める。そのうえで、爪を研ぐ場所だけを別に確認する。この順番なら、「買って失敗した」で話を終わらせずに済みます。
にゃんこの宿が、乗って過ごせる広さも大切にする理由
にゃんこの宿では、爪を研ぐ面だけではなく、大きな猫ちゃんが体を預けて過ごせる広さと安定感も大切にしています。
爪を研いだあと、そのまま座る。昼寝をする。家族の近くでくつろぐ。猫ちゃんが使い方を決められる余白があると、爪とぎは単なる道具ではなく、いつもの場所になっていきます。
さらに、研ぎカスが出にくければ、リビングに置いたままにしやすくなります。使うたびに掃除が気になって、爪とぎを片づける。そんな小さな手間が減れば、猫ちゃんは戻りたいときに戻れます。
爪を研いだ回数だけでなく、その上でどんな時間を過ごしているか。そこまで見てあげると、その爪とぎが本当に使われているかが見えてきます。
まとめ
爪を研いでいなくても、猫ちゃんが自分から何度も戻り、そこで落ち着いて過ごしているなら、その爪とぎは「居場所」として使われています。
ただし、爪を研ぐ役割まで足りているかは別です。ほかの爪とぎで研いでいるのか、それとも家具や壁で研いでいるのかを見てみてください。
何度も戻っているか。爪はどこで研いでいるか。
この二つを分けて見ると、「乗るだけだから使っていない」と決めつけず、その子の使い方に合わせて考えられます。
参考情報:FelineVMA(旧AAFP)の猫の環境づくりに関する資料でも、休む場所と爪を研ぐ場所は、猫の生活に必要な別々の環境資源として挙げられています。
Your Cat's Environmental Needs / It's NATURAL for Cats to Scratch!