にゃんこの宿ができるまで。10キロの猫のために爪とぎを作った話
うちの猫は10キロある。市販の爪とぎだと、体がはみ出す。
小さい爪とぎの上で、窮屈そうに体を丸めて研いでいる姿を毎日見ていた。かわいそうだけど、大きい爪とぎなんて売っていない。どこのホームセンターに行っても、ペットショップを回っても、同じサイズばかり。
ある日、X(旧Twitter)を見ていたら、同じことで困っている飼い主がいた。「段ボール爪とぎを2個並べて使っています」という投稿。写真には、2個の爪とぎを横に並べて、その上に大きな猫が乗っている。
うちと同じだ。
「2個並べる」って、それ解決策じゃない。ただの妥協だ。だったら最初からでかいのを1個作ればいいんじゃないのか。
にゃんこの宿は、そこからスタートした。
最初の試作品は失敗だった
工場に依頼して、最初の試作品を作ってもらった。大きい爪とぎを作りたい。そう伝えたら、壁のような装飾が付いたものが届いた。
外寸は大きい。でも猫が実際に乗れる面積は小さい。壁に場所を取られてしまって、結局うちの猫は窮屈そうにしている。
意味がない。
飼い主が求めているのは「見た目が大きい爪とぎ」じゃない。「猫が乗れる面積が大きい爪とぎ」だ。装飾はいらない。面積を最大にしてくれ。
そこから壁を全部削った。フラットで、余計なものが何もない形。今のにゃんこの宿の原型は、失敗から生まれた。

工場選びで何十万も使った
形が決まったあとは工場選び。これがまた大変だった。
複数の工場からサンプルを取り寄せた。品質はバラバラ。段ボールの硬さ、接着の精度、表面の仕上げ。同じ「段ボール爪とぎ」なのに、工場ごとにまるで別物。ひどいものは触っただけでボロボロ崩れた。
当時はお金に余裕がなかった。サンプルを1つ取るたびに費用がかかる。それでも妥協したくなかった。猫が毎日使うものだから。
その中で一番品質が良かった工場に決めた。そこからさらに改良を重ねて、途中で工場を変えたこともある。品質に納得できなかったから。今の工場にたどり着くまで、相当な時間とお金を使った。
「カスが出ないようにしてほしい」お客さんの声が商品を変えた
Xの猫アカウントで「大型猫用の爪とぎを作ります」と告知した。フォロワーが最初のお客さんになってくれた。反応はすごくよかった。「待ってました」という声もあった。
でも、使い始めたお客さんからフィードバックが返ってきた。
「カスが出ないようにしてほしい」
この要望が、本当に多かった。
最初は「カスが出ない爪とぎ」を狙って作ったわけじゃない。でもお客さんの声を聞いて、「確かに、カスが出てうざいな」と自分でも思った。サンプルを作るたびに、床にカスが散らかる。掃除が面倒。猫がカスを口にする。
工場に「もっとカスが出ないようにしてほしい」と伝えた。最初は「できない」と言われた。
ここで諦めなかったのが、たぶん分かれ道だった。
段ボールを勉強した
工場に「カスを出すな」と言っても、相手も困る。具体的に何をどう変えればいいのかがわからないから。
だから自分で段ボールの知識をつけた。密度の違い、繊維の種類、圧縮の方法。調べて、試して、また調べて。工場に「ここをこういう風にしてくれ」と具体的に伝えられるようになった。
そうしたら工場の反応が変わった。「それならできます」。
改良は10回以上やった。密度を上げるたびにカスが減っていく。大型猫の力に耐える硬さにしたら、結果的にカスがほぼ出なくなった。狙ったというより、猫の力に合わせて作ったら副産物として手に入った特徴。
「1年使えます」アンケートの結果を見て、完成だと思った
改良を重ねて、ようやくカスがほぼ出なくなった。でもまだ「完成」とは思えなかった。
お客さんにアンケートを取った。「どれくらいの期間使えましたか?」
返ってきた答え。「1年くらい使えています」。
一般的な段ボール爪とぎの寿命は1〜2ヶ月。それが1年。裏表使えるから、片面が削れたらひっくり返すだけ。
この数字を見たとき、ようやく「これで完成かな」と思えた。
(レビューをもっと読みたい方は「にゃんこの宿の口コミがすごい。購入者レビュー20選」にまとめた)
猫だけじゃなく、犬も守れた
カスが出なくなって変わったのは、猫の快適さだけじゃなかった。
うちには猫だけじゃなく犬もいる。以前は、爪とぎから出たカスを犬が食べてしまうことがあった。段ボールの繊維は消化できないから、地味に心配だった。
カスが出なくなったら、犬がカスを口にすることもなくなった。猫にとっても犬にとっても安全。これは飼い主として純粋に安心できた。
(猫がカスを食べてしまう問題について詳しくは「猫が爪とぎの段ボールを食べる!誤飲は危険?原因と対策」に書いた)

にゃんこの宿はこうして生まれた
振り返ると、全部「うちの猫」が起点だった。
市販の爪とぎが小さくて窮屈そうだった。だから大きいのを作った。お客さんから「カスが出ないようにして」と言われた。だから段ボールを勉強して改良した。10回以上やり直した。
最初から完成品を作れたわけじゃない。失敗して、お客さんに教えてもらって、少しずつ良くなっていった。
今でもマイナーアップデートは続けている。お客さんのレビューを読んで、「ここはもうちょっと良くできるな」と思ったら変える。星5のレビューは嬉しいし、星1のレビューは改善のヒントになる。
その声があるから、もっといい商品を作れる。いい商品を作れば、またお客さんが喜んでくれる。この循環がある限り、にゃんこの宿は止まらない。
10回以上改良した。
カスが出ない。1年持つ。手作り。全品検品。
にゃんこの宿の爪とぎ、試してみませんか。
※レビューは購入者レビューより抜粋しています。